基礎演習シラバス

授業科目 授業コード 開設学期 授業種別 単位数 対象学生
基礎演習 22290 第2学期 演習 2単位 2回生以上
担当教官 氏名 新保 輝幸
E-mail shinbo@cc.kochi-u.ac.jp
TEL1 844-8251
TEL2
オフィスアワー 火曜日2時限目
学生相談場所 人文学部棟2F 210研究室
テーマ
 里山から考える
−身近な自然の環境問題−
授業目標
 絶滅の危機に瀕する生物種をまとめた環境庁のレッドデータブックに、メダカタガメゲンゴロウサクラソウや秋の七草のフジバカマといったごく身近なものと信じられていた生き物が記載され、世間を驚かしたのは記憶に新しい。これらの生物は、奥山や離島といった隔絶された場所に生きる希少な生き物でなく、かつては農村周辺の里山・里地とよばれるごく身近な場所にいる、ごくありふれた生き物にしか過ぎなかった。なぜそのような生き物が姿を消していっているのであろうか?
 これを理解するためには、里山と呼ばれるものがどのようなものであるから考え始めなければならない。
 里山とは、薪や山菜をとったり、落ち葉を集めて肥料にしたり、草や低木を刈って刈敷や牛の飼料にしたりして、昔から人が暮らしや農業生産の中で繰り返し利用してきた自然である。これは自然といったときにふつうに連想するような原生的な自然とは異なるが、人間の営みによって適度に攪乱されることにより、多様な環境を生み出し、さまざまな生物にその生息環境を提供してきた。
 ♪ うさぎ追いしかの山〜♪と童謡『ふるさと』で歌われるような「なつかしい豊かな自然」は、多くの日本人にとって、実はこのような人手の入った二次的自然なのである。
 里山という考え方は、学問的にも社会的にも近年その重要性が注目されるようになってきている。たとえば、『となりのトトロ』など、宮崎駿のアニメで描かれる森や農村の風景も多くはそのような里山・里地の風景である。
 しかし、農林業の変化や都市の拡大、無秩序な開発などにより、いまそのような里山の自然や風景は急速に失われていっている。それにつれて多くの身近な生き物も姿を消しつつある。なかでも特に重要なのは、人が里山を利用しなくなったことである。それによってこれまでなされてきた"人間による攪乱"が止み、それが逆に里山の生態系にダメージを与えている。
 このような流れに抗して、全国で行政や市民運動による里山保全の取り組みがなされている。高知市においても昨年4月に里山保全条例が制定された。しかし、このような取り組みの有効性に関しては、検討が必要である。

 この演習では、里山を手がかりに、このような身近な自然におけるさまざまな環境問題について考えていきたい。
授業計画
  • 基本的には、テキストの内容の報告と、それを元にしたディスカッションによって進める。
  • テキストはトピックを簡単にまとめたものなので、参加者の関心に応じ、関連の参考文献を読んでいくことにする。
  • 里山のイメージをとらえるために、大学近辺の里山的な場所を歩いたり、里山を背景にした映画の鑑賞したりすることも計画している。
テキスト・参考書等
(社)日本林業技術協会編(2000)『里山を考える101のヒント』東京書籍(1400円)
→ネット上の書評, 書影
授業方法
受講者による報告とディスカッション
成績評価
出席、報告、議論への貢献度などを総合的に評価する。
その他
言うまでもないことですが、無断欠席、特に報告予定者のそれは厳禁です。